風邪と鍼灸治療について
『風邪は万病の元』
風邪はあらゆる病気を引き起こす原因になるから、用心が必要であるということ。
たかが風邪と甘く考えないように戒める言葉。
と、昔から言われています。
医学が発展した現代では、おそらくもっと深い意味が出ているのではないかと思います。
そもそも”風邪”って?
西洋医学的に、そもそも風邪は単一の病原体による一つの病気ではなく、急性上気道炎という病態を示す「かぜ症候群」であり、殆んどは様々なウイルスによる感染が原因です。
なので多くの場合、数日から一週間程度で自然治癒が期待できます。
ところが、同様の症状を示しながら、通常のかぜウイルス以外の感染症(マイコプラズマ、肺炎クラミジア、結核、特殊なウイルスなど)の場合や、元は風邪でも細菌感染症を合併してくる場合があります。
また、背景に気管支喘息が隠れていて、 特別な検査や治療を必要とすることもあります。
さらに、糖尿病、心臓病、腎臓病といった慢性疾患を抱えているケースでは、風邪をきっかけにこれらの病態を悪化させることもあります。
他にも、日常的にはまれですが、免疫力の大幅な低下が引き金になって風邪症状を呈し、このような状態から別の病が見つかる場合もあります。
さて、では東洋医学はどう考えているかご紹介します。
東洋医学の考え方に病気の原因を外因、内因、不内外因の3つに分け、外部(主に気候の変化)から病気を発病させる要因を六淫(りくいん)というものがあります。
人間は季節により、風(ふう);春、暑(しょ)、火(か);夏、湿(しつ);梅雨、燥(そう);秋、寒(かん);冬 という6つの気候の変化を受け、それらを六気(ろっき)といいます。
六気が激しく変化し、体の適応能力を超えるほど異常となり、発病の原因となる場合、このときの六気を、風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、暑邪(しょじゃ)、湿邪(しつじゃ)、燥邪(そうじゃ)、火邪(かじゃ)、(熱邪(ねつじゃ))と呼び、これを六淫といいます。
季節特有の邪気は軽症ですが季節外れの邪気は重症と言われます。
単独で疾病を起こす場合と、複数が連動して起こす場合があります。
しかし、風は春に特徴的な気候変化であるだけでなく、一年を通して現れ、また他の5つと複合しやすいという性質があります。
東洋医学では、「氣」がしっかりしていていれば、身体を衛ることができ、邪気は入ってこないと考えます。
それは、風邪の原因、風邪(ふうじゃ)から気が身体を衛ってくれるからです。
仕事や日々のストレスをはじめ、年末になると、家の大掃除、忘年会などで、多忙な日々が続き、体調を崩しやすくなります。
忙しいと「気」を消耗してしまい、寒さに弱くなり風邪・インフルエンザなどにもかかり易くなります。
まさに「病は気から」と言うことです。
風邪症状について
自覚症状としては、鼻水や鼻づまりなどの鼻症状、喉の痛みなどの咽頭症状が挙げられます。
その他には発熱や頭痛、全身の倦怠感を訴える場合もあります。気管や気管支などに炎症が起こると咳やたんなどの症状も出ます。
くしゃみや鼻水、咳やたんなどの症状は人体にとって異物である病原体を身体から追い出すための生体反応の1つです。
また、風邪症候群は年代、男女の関係なくあらゆる人が発症し、健康な人の大半が発症するごく一般的な疾患といえます。
東洋医学では風邪をひきやすい体質を大きく分けて2つに分けています。
①寒性タイプと②熱性タイプです
①の寒性タイプは熱もなく、汗も出ません、ただ鼻が詰まったり鼻水が多く出ます。
のどはイガイガし手足の関節が痛みがあったり力が入らないこともあります。
食事は脂っこいものは避けるようになります。
舌の表面の苔が薄白くなっていたりしています。
②の熱性タイプは汗をとにかくかきます。
熱も高くなり、喉の痛みや頭痛、頭が重いなんてこともあるかもしれません。
舌も全体的に赤みが強く苔の色が黄色になっていることもあります。
風邪に対する鍼灸治療について
鍼灸治療では先に述べたタイプ別に治療のやり方が少し変わってきます。
①の寒性タイプはお灸を中心に身体に熱を生み出すようなアプローチを
②の熱性タイプは鍼を中心に熱を下げるようにアプローチしていきます
今述べたように症状に対して治療していくとは別に『未病治』という考え方があります
これからは病気にならない「予防医療」の時代!キーワードは『未病治』!
未病治(みびょうち) 聞き慣れない言葉だとおもいます。
「未(いま)だ病(や)まざるを治(ち)す」と読みます。
「病気になってしまう前に養生をして、健康状態を維持する」という考え方です。
日頃から鍼灸治療を受けておくことで、疲労を取り、睡眠の質を上げることで免疫力が上がり、結果、風邪をひきにくい身体を作っておく事ができます。
同時に怪我や痛みなどの悩みを繰り返さない身体が手に入ります。
風邪に有効なセルフケアのご紹介
ツボを温風で刺激するだけお手軽ドライヤー灸
ドライヤーの吹き出し口を肌から10cm程度離して、目的のツボ周辺に温風を当て、ピッと熱く感じたらすぐに離します。
これでお灸1回分に相当。必ず自分で行いましょう。
①1日1回でも十分。家にあるドライヤーでOK
1日1回、ほんの数分間のケアで十分、どんなドライヤーでもOK。
②適温は50~60°C。熱さは距離で調節して
温度調整可能なドライヤーなら50〜60°C設定が目安。自分の体感を重視して、じんわり温かいと感じられる距離で肌に当て続けます。熱いと感じたらすぐに肌から離すこと。
③風量は風の広がりを抑える弱風で
ドライヤーの熱風を拡散させすぎないために風量は弱に設定。小さい面積で温風が肌に当たることで、より素早く、的確にツボを捉えて刺激することが可能に。
④体温上昇+ツボ刺激のWの効果
ツボへの熱刺激によりお灸と同様の効果が得られるだけでなく、温風を体に当てることによる温め効果も期待できます。体を温め続けることにより体温がアップし冷え性の悩みまでも解決できるかも。
これらを考慮してお勧めのツボを紹介していきます。
風邪に効くツボ
⚜️風邪による寒気、風邪予防に『大椎(だいつい)』と『風門(ふうもん)』
このあたりを、ドライヤーや使い捨てカイロなどで温めましょう。
⚜️咳と痰がからむ
まず、カイロやドライヤーで温めます。
その後、『天突』を骨のほうに軽く押してください。
なぜ“冬”に風邪が流行るのか?
冬に流行る風邪のウイルスは、空気が乾燥したところや寒いところで繁殖しやすい性質を持っています。
空気が乾燥していると、ウイルスが増えやすいだけでなく、のどや鼻の粘膜も保湿性を失い、より感染しやすい状況を作ってしまうのです。
東洋医学的にも鼻などに関係する呼吸器系は『肺』が司っていますが、皮膚バリアを作るところでもあります。
乾燥が苦手なので、外気が乾燥してくるとバリアが作れなくなり『風邪(ふうじゃ)』に身体に入り込まれ症状が出てくるのです。
また、年末は何かと多忙になり生活習慣が乱れる時期と重なります。
喉が乾燥し、また疲労の蓄積から免疫力が落ちてしまうと、咳など異物を外に排除する力も弱くなります。
そんな、身体に悪さをするウイルスの好きな環境をわざわざ作る必要はありません!
お部屋を暖かくして、湿度60%程度を保ち、時々換気する!
換気の時は暖房など消さないでください!
室内にウイルスを溜めないように心がけ、温かい飲み物で体内を潤し水分不足にならないよう心がけましょう!
罹ってからより、かかりにくい身体を持っておく!
日々のメンテナンスで病気になりにくい身体づくりを目指して日々診療しています。
東洋医学で『氣』を増やして肌表を固め、抗病力・免疫力を高めることで元気を維持しましょう。
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